出発前

上りと下りの航路くらべ

同じ峡谷、同じ景色でも、方向が違えば日数も料金も、巡る順も光も変わる。方向を間違えても見るものは同じだが、見え方は変わる。

配图待补:游轮驶出瞿塘峡夔门,晨雾未散

三峡クルーズの方向は二つしかない。下り(重慶から宜昌へ、流れに沿って)と上り(宜昌から重慶へ、流れに逆らって)である。通る峡谷も寄港地もほとんど同じで、違いは「何を見るか」ではなく「何日かけて見るか、いくら払って見るか、どんな光で見るか」にある。

一、日数とリズム:下りは詰まり、上りはゆるい

!写真準備中:流れを下る船首から見た川面、両岸の山が後ろへ流れていく

下りは水が押してくれ、上りは水に逆らう。同じ区間でも、二つの方向で航行時間は一日近く違う。

  • 下り(重慶→宜昌):通常3泊4日。日中の航行と上陸観光が詰まっており、朝に降りて見て、午後は船に戻って峡を抜ける。「効率」寄りのリズムだ。
  • 上り(宜昌→重慶):通常4泊5日。増えた時間の多くは、船上の自由時間と余裕のある寄港時間になる。

選び方:休みが週末に二日足すだけで、両端の交通の接続もよくないなら下り。三峡が初めて、年配の方や子ども連れ、甲板でゆっくり過ごしたいなら上り。上りで増えるその一晩こそ、本当の意味で「船で暮らす」一晩になることが多い。

二、料金:同じ船・同じ客室なら上りのほうが安いことが多い

!写真準備中:クルーズ船の舷側とタラップ、乗務員が乗船券を確認している

多くの日程で、同じ船、同じ等級でも上りは下りより安い。上りのほうが一晩長いのにである。理由は単純で、下りは日数が短く短い休暇に収めやすいため需要が集まり、値が上がる。

ここに見落とされがちな選択肢がある。もともと時間に余裕があるなら、上りは「一晩多く泊まって、しかも安い」ほうになる。ただし両端の交通も合わせて計算してほしい。浮いた船賃が帰りの航空券の差額に届かないこともある。どう飛び、どう高速鉄道に乗るかを先に見てから方向を決めたい。

三、見どころの順序:山場が最初か最後か

!写真準備中:白帝城と夔門の全景、開けた川面

三峡は西から東へ瞿塘峡 → 巫峡 → 西陵峡と続き、三峡ダムはいちばん東の宜昌にある。したがって

  • 下り:まず重慶区間と豊都、石宝寨といった川沿いの人文寄港を経て、夔門と巫峡へ入り、最終日を三峡ダムで締める。山水から工学へ向かう一本の線になる。
  • 上り:逆に、最初の一日二日が三峡ダムと西陵峡で、そこから川を遡って峡谷に入り、最後は重慶の街の川景色で終わる。

どちらが良いとは言えないが、ひとこと添えておきたい。今回いちばん見たいものが夔門と巫峡の峡谷なら、それを帰る日に置かないほうがいい。 峡区は早朝に濃い霧が出やすく、その日に限って霧が深いと、下りならまだ行程の半ばで後に内容が残るが、上りではそれが最後の印象になってしまう。

四、光:峡を抜ける時間帯が写真を決める

!写真準備中:早朝の甲板の逆光、峡谷の稜線が金色に縁取られる

峡江のいちばんよい光は日の出から一、二時間と日没前にある。二つの方向のダイヤによって、その光に当たる峡の区間は違ってくる。船会社は水文と閘門の調整に合わせて時間を組むので、特定の便については予約時に「何日の何時に瞿塘峡・巫峡を通るか」を確かめておけばよい。

実際には次のようにする。

  1. 乗船した日にサービスデスクで翌日の峡通過のおおよその時刻をもらっておく。どの船でも教えてくれる。
  2. 通過する日は30分前に最上甲板へ上がって場所を取る。船が峡の入口に入ると、すぐに人でいっぱいになる。
  3. 逆光の時間帯は稜線を、順光の時間帯は岩肌の質感を撮る。両方を追う必要はない。

五、閘門を抜ける:夜の「水上エレベーター」

!写真準備中:三峡ダムの五段閘門、閘室内の水位が下がっていく

どちらの方向でも、全区間を走れば三峡ダムの五段閘門を通る(一部の船は昇船機を使い、一度で持ち上げるため格段に速い)。閘門はたいてい夜に順番が回り、全体で数時間かかる。扉が閉まり、水位がゆっくり上下していく過程そのものが見ものだ。この旅で数少ない「人の手による壮観」である。

  • 閘門を見たいなら早く寝ないこと。進入予定の時刻を確かめておく。
  • 閘室のなかは暗く、手すりが光を反射するので携帯では限界がある。カメラがあるなら感度を上げておきたい。
  • 眠りの浅い人は逆で、通過中は機械音と船体の軽い接触感がある。予約のときに船尾の機関室寄りの部屋は避けたい。

ひとことの結論

時間が足りず効率よく回りたいなら下り、時間に余裕があってゆっくり行きたく、しかも安く済ませたいなら上り。 見るものは同じで、選んでいるのはリズムである。

予約の前に、方向と両端の交通をまとめて決めるとよい。定番の行程を見てもよいし、日程を教えていただければこちらで組み立てる。